先日のエントリここんところ読了したミステリィ:恩田陸「ドミノ」・東野圭吾「鳥人計画」・貫井徳郎「迷宮遡行」から約2週間で5冊+『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』。
10冊にはギリギリ届かなかったけど、久々に本を読んでいるなぁという感じの7月でした。
まぁ、簡単に雑感をまとめていきましょう。
*太田忠司 『囁く百合―レンテンローズ』
例のシリーズの続編。というか新刊として出たときに買ったんですけど積読してたんですよね(^^;
今回は犯人探しこそシンプルだが主人公の成長物語として楽しめました。この辺は狩野俊介シリーズに通ずるところもあり、太田忠司のいいところが上手く出ているんじゃないかな。
その一方でアカンサスやプリムラの側の「世界」のお話がプロローグ・エピローグについているんだけど、これは不要でしょう。闇設定であるほうがイメージが定着しなくて、「謎」の人物?としての価値もあがるんじゃないかと思うんですけどね。
まぁ、8月の狩野俊介シリーズの新刊に期待ということで。
*恩田陸 『MAZE』
書影はハードカバー版より。ハードカバーの装丁は本当にきれいでしたよねぇ…。文庫は安っぽいけど(-_-;;
で、作品はというと、これまでに読んだことないタイプの話の流れとオチのトンデモさに思わず笑ってしまった。
近い感触を持ったのは鳥飼否宇の『桃源郷の惨劇』かな。うっちゃりの凄さは『桃源郷~』のほうが勝るので、MAZE自身はちょっと控えめな評価にしておきましょう。
どうでもいいけどMAZEというとおねにーさま。という印象があるのは単なるダメ人間な証拠なんでしょうね。ハハハ(^^;;
*青井夏海 『赤ちゃんをさがせ』
いわゆる日常系ミステリィでかつ安楽椅子系な短編集。
作者の二作目にあたる作品ですが、非常に安定した話運びに感心。
表題作の終盤の無茶がなければよかったのになぁ。
*有栖川有栖 『絶叫城殺人事件』
火村・アリスのシリーズなんで適当に読もう…と思っていたが、意外や意外すごく楽しめた短編集。
火村やアリスの「ココロ」が垣間見えたのでより一層充実感があったのかもしれません。
お気に入りは「黒鳥亭殺人事件」「雪華楼殺人事件」かな。前者は火村の子どもの扱いの上手さもさることながら、推理の材料の引っ張り出し方が素晴らしい。ともすれば救いの無い結末もキレイに収斂させている。対して、後者はひたすら救いの無い結末。登場人物たちの葛藤が胸をうちます。
*加納朋子 『ささらさや』
文庫落ちを待ちに待っていた加納朋子の本作。
実は我慢しきれずにコミック版を読んでいるので大半のストーリーは知っていましたが、逆にそれが糧となって登場人物たち(特に三婆)がイメージとして愉快に動き出してくれました(笑)
もちろんストーリーを彩る地の文からも加納朋子の優しい眼差しが感じられて、よかったです。終章ではやっぱりホロリときましたよ。
ハートウォーミングな話が好きな向きは是非。
しかしマンガの時には気づかなかったけど、サヤの旦那さんの名前って出てこないんですね(^^;