これまでjunknewsでは2度ほどご紹介してきた『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』がようやく発売されたのでさっそく読んでみました(ちょっと辛い部分もあったけど)。
前回の紹介でも触れましたが、この本は以下のような内容です。
ゴジラ、ガメラ、ガンダム等、男の子が好きなものの名前にはなぜ濁音が含まれるのか。 カローラ、カマロ、セドリック等、売れる自動車にC音が多いのはなぜか。
キツネがタヌキよりズルそうなのはなぜか。 すべての鍵は、脳に潜在的に語りかける「音の力」にあった! 脳生理学、物理学、言語学を縦横無尽に駆使して「ことばの音」のサブリミナル効果を明らかにする、まったく新しいことば理論。
見ていただいたら分かると思うのですが、このタイトルは本文中のごくごくわずかなパートだけを抽出したものであり、ひたすら怪獣の命名規則について語っていたりするものではありません。五十音を構成する子音と母音それぞれが有する「音」のもつ潜在的な力についてまとめられた本です。
この潜在的な力は音のもつ色・風景・印象・手触り・速さといったものであり、本文中ではサブリミナル・インプレッションやクオリアというキーワードで表現されます。
新書というフィールドでの論旨の展開であるため、門外漢のぼくにとっては牽強付会だとしか思えないところも結構ありますが、それぞれのクオリアで引き合いに出される例示に思わず「確かにそうかも」と思わされる説得力があるのも確か。
4章「音のクオリア」を読み終わると、5章の「ブランドマントラになった商品名たち」では筆者の術中にハマってしまったような感覚で読み進めていくことになるので、楽しいですよ(笑)
複合音でのクオリアの組み合わせなどで「命名」などに活用できるかと思ったが、単音レベルの話に終始してしまい残念。
そこまで載っていたら、より直截的なビジネスへの活用はもちろん、人の名前の分析などの雑談に活用できるなぁとか読みながら思っていたので(^^;
ともあれ、ネーミング理論などはあれども、筆者曰く他の研究が無い「今のところ、ことばのサブリミナル効果の正体について語った唯一の本」*1ということ。
さまざまな分野からの賛否が集まるでしょうが、そういったギロン・調査の積み重ねでこの分野の研究が成熟していくことを期待するばかりです。
- *1: 同書P.18